容姿、色彩、香りの三拍子が揃っていたからこそ、太古から人々は薔薇を愛し続けてきました。バラは香りのよい花の代名詞です。
一時期、花の形・色、花付けに重点が置かれ、香りは二の次にされてしまいました。
それを残念なことに思ったアメリカのバラの協会は「香りのない薔薇は、笑わぬ美人のようだ」と宣言。
最近のコンテストでは花姿だけでなく、香りも重要な審査のポイントになっています。
バラは品種改良によって2万以上の種類がありますが、この流れを加速させたのが、ヨーロッパ原種のバラと中国原種のバラの出会い。
この出会いによってモダンローズが誕生し、ヨーロッパ種にはなかったふたつの大きな美を現代のバラにもたらしました。
そのひとつが四季咲き性。年に一度のバラをより美しく開花させるため、ガーデナーたちは夏の暑さも冬の寒さも厭わず、惜しみない時間と労力をバラに奉げてきました。バラをこよなく愛する人々の願いはバラに囲まれた生活。60日に一度花を結ぶ中国バラとの交配によって、この望みが叶えられました。
もうひとつがバラの香り。西洋バラの香りは濃厚な甘さと華やかさが特徴ですが、中国バラは紅茶のような爽やかで気高い香りがあります。
モダンローズは西洋の華麗と東洋の気品の両方の香りを合わせ持つことにより、香りの幅が広がりました。
モダンローズのバラの香りは6種類に分類されています。この大事業を成し遂げたのが前回ご登場いただいた蓬田勝之氏。
氏は30年以上にわたりバラを追い続け、バラの季節には国内はもとより海外のバラの産地に出かけ、1000種類以上のバラを嗅ぎ続け、同じバラでも品種によって異なるバラの香りを化学的に分析し、香り成分を解明しました。
バラの精油はダマスクローズとセンティフォーリアといずれもヨーロッパ種のダマスク系のバラから抽出されます。そのためこれがバラの香りだと思い込んでいましたが、大きな間違いだったことを氏に教えられました。
季節はちょうどバラの季節。6種の香りを求めてバラ園を訪れてみてはいかがでしょう。
◇6種の薔薇の香り◇
【ダマスク・クラシック】
いわゆる古典的な薔薇の香り。強い甘さと華やかさ、そして爽やかさを併せ持っていて心を酔わせる香り
【ダマスク・モダン】
ダマスク・クラシックの香りを受け継ぎながら、香り立ちは強く情熱的で洗練された香り
【フルーティー】
ピーチのような香りや、アプリコット、アップルなどの新鮮な果実の香り
【ティー】
ダマスク系とは異なる紅茶様の爽やかな香り
【ブルー】
ダマスク・モダンとティーの香りが混在し、他にはない独特の香り
【スパイシー】
ダマスク・クラシックを基調にクローブ様のスパイシーな香り
引用:蓬田勝之著「薔薇のパルファム」求龍堂刊
お肌の10秒チェックで冷え・疲れもわかる (スキンケア ハンドブックもれなく プレゼント!)
コメント