宗教心が希薄な日本人でも、年に一度、自分が仏教徒であることを再認識し、自分のルーツを省みる時期でもあります。
仏様へのしつらえは各宗派や地域によってことなりますが、どんな場合でも欠かすことができないのが、花立、燭台、香炉の三具足〔みつぐそく〕です。ちなみに五具足〔ごぐそく〕は花立と燭台が一対になっています。
古代より香りは儀式と深く結びついていたことを、このブログでも何度か紹介していますが、仏教では香りは仏様の使いであり、仏様の食事と考えられています。
仏教発祥の地、インドの神話にはガンダルバという香りを食べる神様がいます。神話の中では子授けの神様として描かれているのですが、香りのもつ催淫効果を神格化して表現しているのだと思います。
仏教儀式の中で、香りと宗教の関係をみるとき、わかりやすいのが「香典」です。今では金銭を供えるのが一般的ですが、本来は字のごとく「香りを供える」ことでした。
生を終えてから生まれ変わるまでの期間が四十九日あるとされ、この間は香りによって養われ、清められる時期とされています。この間は「焼香」を絶やさないようにします。
「焼香」は葬儀では「抹香」を、その後は「線香」が用いられます。「焼香」の仕方も宗派によって違いがあるようですが、右手で香をつまみ(もしくは手にもち)、額におしいただき、香炉にくべる(立てる、置く)これを1回~3回繰り返すというのが一般的なようです。この回数には意味があって、一度目は仏への礼拝、二度目は精神修行、三度目は信仰心を表わしているそうです。多くの人が用意されている香を使いますが、本来は持参した香で焼香するのが正式なようです。
「香」には、沈香、白檀、丁子、桂皮などさまざまな原料が用いられており、多くの香料がアロマテラピーの精油と共通しています。現在ではラベンダーの香り、シトラスの香りといった線香も売られています。これらを邪道というつもりはありませんが、日本人としての遺伝子がそうさせているのか、私自身は昔ながらの香木を使ったお線香の香りが癒されます。
高級な「香」といえば沈香や白檀を用いたものですが、沈香の中でも最高級品を「伽羅」といいます。江戸時代には「伽羅」は最上級のほめことばとして使われていました。
日ごろはご無沙汰気味のご先祖様を、せめてお盆ぐらいは上質の「香」でお迎えしてはいかがでしょう。
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