アロマ歳時記

和の香り

アロマテラピーはフランスを発祥としていますが、日本には平安王朝から脈々と受け継がれている香りの文化「香道」があります。

日本における香りの始まりは、仏教の伝来とともに広がっていきました。080514_2
仏前を清め邪気を払うために、そして厳かな香りを仏様への奉げものとして「香」を用いていました。
『日本書紀』に「ひと抱えもある大きな沈水香木が淡路島に漂着し、島人がそれと知らずかまどに入れて薪とともに燃やしたところ、その煙が遠くまで薫り、これを不思議なこととしてこの木を朝廷に献上した」と記されています。
 
沈香は東南アジアに生息するジンチョウゲ科の樹木ですが、生息している木が香るのではなく、長い年月の中で、風雨や病気・害虫などから自衛手段として、木の内部に樹脂を分泌、蓄積したものが沈香となります。木でありながら水に沈むことに由来しています。

奈良の正倉院には国宝級の沈香木が所蔵されています。
正式名称は「黄熟香(おうじゅくこう)」と言いますが、一般的には「蘭奢待(らんじゃたい)」と呼ばれ、その名に「東大寺」が隠されているといわれています。

この香を手に入れることは天下人の証であり、その切り口には下賜された人の名が記された札が貼ってあります。
これまで足利義満、足利義教、足利義政、織田信長、明治天皇らが切り取っています。

宗教的儀式から始まった香りの歴史は、平安時代には貴族のステイタスとして日々のくらしの中で香りを楽しむようになってきました。
衣服に香を焚きしめる衣香(えこう)や、部屋に香りをくぐらす空薫物(そらだきもの)は貴族のたしなみであり、外国から入ってくる上等な香を炊けるのは権力の象徴でもありました。

源氏物語、枕草子をはじめ、王朝文学には香りの記述が多く見られます。貴族の生活の中で、香を焚くということは、生活の一部でもあったわけです。(続く)

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2008年5 月14日 (水) カテゴリー: 歴史の中のアロマ | 個別ページ | コメント (0)

香る身体

食品から雑貨にいたるまで香りを扱った商品が世の中にあふれていますが、「カラダ香る」というお菓子があるのはびっくりです。
一度食べてみましたが、残念ながら納得いく効果は得られませんでした。
0228seisi 古代中国には身体から芳香を発する美女がいたと伝えられています。その名は西施(せいし)。春秋時代(紀元前5世紀頃)呉の王の寵愛を受けた美女です。
その香りを伝える逸話として、彼女が入浴した湯に香りが移り、人々はその湯を求めて争ったといわるほど、芳しい香りを漂わせていたそうです。残念ながらどんな香りであったかを後世に伝えてくれるものは残っていないようです。
西施だけでなく、中国には芳香を発する美女はたくさんいたようで、楊貴妃もその一人と言われています。美女であるだけでなく芳香もなくては、最高権力者の寵愛を独り占めにすることはできなかったのかもしれません。
そのためかどうか古代中国には「体身香」なるものがありました。「体身香」は芳香薬としてだけでなく媚薬でもあったようです。
伝えられている製法は丁子(グローブ)、麝香(ムスク)、零陵香(サクラ草科の草本)、甘松香(オミナエシ科草本)、桂皮(シナモン)を粉末にして練り上げ丸薬したようです。3日間で12個飲むと口から芳香が漂い、5日目には身体から芳香が漂うとのことです。
この材料からするとかなりスパイシーで官能的な香りのようです。
話はそれますが、太田胃散には桂皮や丁子などが入っているので、胃腸薬としての効果は高いかもしれません。(夢のない話ですみません)
クレオパトラはシナモンを愛用し、楊貴妃は丁子を口に含んでいたという逸話から想像できるように、東西問わず遠い時代に生きた人々はスパイスがお好きだったようです。
スパイスは毒消しであり、腐敗防止であり、感染予防であり、媚薬です。生きて子孫を繁栄させるという動物としての本能がスパイスを求めたのかもしれません。
アロマテラピーでもグローブやシナモンはポピュラーな精油です。ただし精油の場合、服用することができないのが残念です。

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2007年2 月28日 (水) カテゴリー: 歴史の中のアロマ | 個別ページ | コメント (1)

美女と香り(楊貴妃)

前回のクレオパトラに続き・・・

一方、「傾国の美女」と言われた楊貴妃も、香りを武器にライバルの多い後宮で、名君といわれた玄宗皇帝の寵愛をひとり占めにしました。

楊貴妃は胡族(中近東)の出身といわれています。
中近東系の彫の深い面立ちに加え、東洋人とは違う体臭も玄宗皇帝にとっては魅力的であったのでしょう。

胡族は東洋人と比べるとワキガ臭が強く、自分の体の臭いを気にしていた楊貴妃は香料をふんだんに使ったといわれています。

白檀でできた宮に住み、沈香や丁子(グローブ)を常に口に含んでいた楊貴妃は芳しい香りに包まれていたようです。
二人が好んで用いた香りは奇しくも催淫効果のある香りです。

本人たちがその効果を知っていたか知らずか…

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2006年10 月27日 (金) カテゴリー: 歴史の中のアロマ | 個別ページ | コメント (2)

美女と香り(クレオパトラ)

世界に名だたる美女、クレオパトラと楊貴妃。

残念ながら、最後は敵に追われ、自害の道を辿ることになってしまったのですが、それゆえ後世に残る美女と称させるのかもしれません。

時の英雄を虜にしたのは美貌だけでなく、頭の良さなど総合的にすばらしい女性であったのでしょうが、彼女たちには男性を魅了する共通の秘策がありました。

それは香りです。

クレオパトラの時代、香料は稀少ゆえ大変高価なもので、金以上の価値がありました。

香料の産出国は主に中近東でしたので、ローマ人のシーザーやアントニーにとってクレオパトラの香りははじめての経験でした。

クレオパトラはローズやシナモンの香りをよく使ったようですが、これらの香りには催淫効果(色っぽい気持ちになる)があります。

クレオパトラはその美貌と英知に加え、香りを活かしてローマの権力者たちを虜にしていきました。

楊貴妃はまた別稿で。。。

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2006年10 月19日 (木) カテゴリー: 歴史の中のアロマ | 個別ページ | コメント (3)

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